4. 直流回路の電位図

直流回路の電位図例

直流回路の電位図は、回路に流れる電流と回路中の電気素子の配置に基づいて決定される。回路中の各電気素子には、それぞれ一定の電位差があり、回路中の電流の方向も考慮する必要がある。

図「直流回路の電位図例」である。この回路では、電源が15Vの起電力を持ち、回路を流れる電流は左から右に向かって流れる。抵抗\(R_1\;(5\; k\Omega)\)は電圧降下\(R_1 I\)を起こして、その電圧降下は5Vである。\(R_2\; (10\; k\Omega)\)も同様に電圧降下を起こして、その電圧降下は10Vである(つまり、回路の右側が回路の左側よりも低い電位にある)。
このように、直流回路の電位図は、回路中の各電気素子の電位差と、回路中の電流の方向に基づいて決定される。回路中に複数の電気素子がある場合、それぞれの電気素子に対して電位差を計算し、回路中の電流の流れに従ってそれらを配置していくことで、回路の電位図を描くことができる。

電位、電位差、電圧の考え方

電圧の基準

「電圧の基準」の図で、\(R=R_1\)とすると\(R_2 =2R\)である。
点\(d\)を基準の0 Vとすると、\(a\)点から\(b\)点は起電力\(E [V]\)の電源により、\(E [V]\)電圧が高くなる。また、この回路に流れる電流は、$$I = \frac{E}{R_1 + R_2}=\frac{E}{3R}$$となる。
この図の場合、基準点(0 V)が\(d\)点なので、\(e\)点の電圧は、\(R_2\)による電圧降下\(V_2\)によって、$$V_e = 0 - V_2 = 0 - R_2 I = -2R \frac{E}{3R} = -\frac{2E}{3}$$となる。\(a\)点の電圧は\(e\)点と同じなので、\(V_a =-\frac{2E}{3}\)である。従って、$$V_b = -\frac{2E}{3} + E =\frac{E}{3}$$となる。
\(b\)-\(a\)間の電圧は、\(a\)点を基準とすると、$$V_{ba}= V_b - V_a =\frac{E}{3} -\left(-\frac{2E}{3}\right) = E$$となる。

※\(a\)点を基準とした\(b\)点の電圧は\(V_{ba}\)と表記する。

電位は、電荷がある位置にある場合、周りの空間において電荷によって引き起こされる電場の影響を受けることで生じる物理量である。電位は電荷に対して働く力の大きさを表し、単位はボルト[V]で表す。

電位差は、2つの位置の電位の差を表す物理量で、2つの位置の電位差は、一方の位置からもう一方の位置に向かって移動する電荷が受ける力の大きさを表す。単位は同様にボルト[V]で表す。

電圧は、電気回路において電流を流すために必要な電位差の大きさを表す。電圧は電源や電池によって提供され(起電力)、回路中の電荷に力を与えて流れを生み出す(電流)。電圧は、電位差と同じくボルト[V]で表す。以上は、物理的な考え方になる。

電気回路では、一般的に電位差を電圧とする。また、電位はある基準点からの電圧として考える。基準点は、多くの場合、回路基板、または、回路網のコモン(GND)として、そこを0 Vと考える。