9. 測定の確からしさ

測定の確からしさとは

測定の確からしさは、測定がどれだけ正確で信頼できるかを表す指標である。測定の確からしさは、以下の2つの要素によって決まる。
信頼性(Reliability):同じ測定を繰り返した場合に、結果が一定であるかを示す指標。信頼性が高い測定は、同じ条件下で何度繰り返して行っても、結果が一定であることが期待される。測定の信頼性は、再現性とも呼ばれる。
妥当性(Validity):測定が、本当に測定したいものを正確に測定しているかを示す指標。妥当性が高い測定は、測定対象の特性や能力を正確に測定していることが期待される。測定の妥当性は、正当性とも呼ばれる。

測定の確からしさを高めるためには、信頼性と妥当性を向上させることが重要である。信頼性を高めるには、測定方法を明確にし、測定条件を一定に保つ。妥当性を高めるためには、測定対象の特性や能力を正確に把握し、適切な測定方法を選択する。また、測定の過程で発生する誤差を最小限に抑えるために、注意深い測定手順やデータ解析が重要である。

測定の不確かさ

測定の不確かさとは、測定結果が真の値からどの程度ずれているかを表す指標である。つまり、測定結果の誤差の範囲を示す。不確かさは、以下の2つの要素から構成される。
精度(Accuracy):測定値が真の値にどの程度近いかを表す指標。精度が高い測定は、真の値に非常に近い値を測定することが期待される。
分解能(Resolution):測定値の表現能力を示す指標。分解能が高い測定は、小さな差異を正確に測定できることが期待される。

不確かさは、測定対象や測定方法によって異なる。測定対象が複雑であったり、測定方法が複雑であったりすると、不確かさが大きくなる傾向がある。また、不確かさは、測定器具の精度や分解能、測定者の技能や経験なども影響を受ける。

測定の不確かさを減らすためには、以下のような方法がある。
・測定器具の選定:測定器具の精度や分解能を適切に選定することが重要。
・測定方法の検討:測定方法をより適切なものに変更することで、不確かさを減らすことができる。
・測定の繰り返し:同じ測定を複数回行い、結果を比較することで、不確かさを減らすことができる。
不確かさの評価:測定結果の不確かさを評価し、誤差の範囲を明確にすることで、測定結果の解釈におけるリスクを軽減することができる。

測定の不確かさの推定方法

測定の不確かさを推定するには、以下の方法がある。

・重ね合わせ法(Combination method):測定器具の精度や分解能、測定者の技能や経験など、測定に関わる要因ごとに不確かさを推定し、それらを重ね合わせて全体の不確かさを求める方法。
・統計的方法(Statistical method):測定値の分布を統計的に解析し、測定誤差の標準偏差や信頼区間を求める方法。この方法では、測定誤差の大きさを確率的に評価することができる。
・交換性試験法(Interlaboratory comparison method):同じ測定対象に対して、異なる研究機関や測定者が測定を行い、その結果を比較する方法。この方法では、異なる研究機関や測定者による測定結果の差異を測定誤差として評価することができる。
・シミュレーション法(Simulation method):測定対象や測定器具の特性を理論的にモデル化し、そのモデルを用いて測定誤差をシミュレーションする方法。この方法では、理論的なモデルを用いて、測定誤差の原因や範囲を評価することができる。

これらの方法を組み合わせて、測定の不確かさを推定することができる。ただし、不確かさの推定は常に正確ではなく、測定対象や測定方法によって異なるため、適切な方法を選択し、注意深く評価することが必要である。

合成不確かさ

合成不確かさは、測定値の不確かさを推定するために使用される概念であり、測定器具の精度、測定者の技能、測定環境の条件など、測定に関係するさまざまな要因から生じる不確かさを組み合わせて、最終的な測定値の不確かさを表す。

合成不確かさの式は以下のように表される。$$U_c = \sqrt{\sum U_i^2}$$
ここで、\(U_c\) は合成不確かさ、\(U_i\) は各要因から生じる不確かさを表す。\(\sum U_i^2\)は、各要因の不確かさを二乗して足し合わせた値である。

この式は、要因ごとに不確かさを推定し、それらを二乗して足し合わせた値の平方根を求めることで、最終的な測定値の不確かさを求める。ただし、この式は要因が独立している場合に適用されるため、要因間に相関がある場合には修正する必要がある。また、式中の不確かさは標準不確かさを指しており、信頼度に応じた拡張不確かさを求める場合には、係数を乗じる必要がある。