24. JFETのバイアス回路

JFET(Junction Field Effect Transistor)のバイアス回路は、JFETを所望の動作点に設定するために必要な電圧を提供する回路である。JFETを特定の動作点で利用できるようにするためには、適切なバイアス設定が重要である。

nチャネルJFETのバイアス回路

固定バイアス回路

図1は、nチャネルJFETの\(V_{GS}-I_D\)特性である。動作点を点\(Q\)にしたい場合、図2のようにゲートに抵抗\(R_G\)を介して負の電圧\(V_{GG}\)を加えればよい。ゲートにはほとんど電流が流れないので、\(V_{GS}=V_{GG}\)となる。
図2のように、独立した直流電源により、ゲートにバイアスをかける回路を固定バイアス回路という。出力電圧は、$$V_{DS} = V_{DD} - R_D I_D$$ として取り出すことができる。

自己バイアス回路

自己バイアス回路は、単純で一般的なJFETバイアス回路の一つである。nチャネルJFETの場合、自己バイアス回路は、ソースに接地された抵抗\(R_S\)を用いてソース端子に一定の電流\(I_D\)を流すように構成される。ドレイン抵抗\(R_D\)を介してドレイン端子は電源電圧\(V_{DD}\)に接続される。ゲート端子は抵抗\(R_G\)を介して接地され、これによってゲート-ソース間の電圧\(V_{GS}\)が決定される。

自己バイアス回路の動作

ソース抵抗\(R_S\)によりソース端子に一定の電流\(I_D\)が流れ、これによってソース電圧\(V_S\)が生じる。ゲート⁻ソース間の電圧の関係は、$$V_S + V_{GS} = V_{RG}$$である。ここで、ゲートに接続された抵抗\(R_G\)には、ほとんど電流が流れないので、\(R_G\)による電圧降下は0で、\(V_{RG}=0\;V\)である。従って、$$V_S + V_{GS} =0 \\ V_{GS} = - V_{S}$$となる。よって、\(V_{GS}\)が負になり、JFETが適切に動作するようにバイアスが設定される。また、\(V_{GS} = -V_S = -R_S I_D\)より、$$-\frac{1}{R_S} = \frac{I_D}{V_{GS}}$$なので、JFETの動作点を図1の点\(Q\)のように定めるには、バイアス電流\(I_{DQ}\)とバイアス電圧\(V_{GG} = V_{GSQ}\)から、ソース抵抗\(R_S\)は、$$R_S = -\frac{V_{GSQ}}{I_{DQ}}\;\;\;\;\; (V_{GSQ}<0)$$と設計できる。\(R_G\)には電流が流れないので、\(R_G\)の値は任意であるが、入力インピーダンスを下げないために、数百\(k\Omega\)から\(1\;M\Omega\)程度の高抵抗を使用する。
自己バイアス回路により、JFETはドレイン-ソース間の定常電流\(I_D\)で動作し、これによりJFETの利得やドレイン特性が決まる。

 JFETの\(V_{GS}-I_D\)特性
図2 JFETの固定バイアス回路
図3 JFETの自己バイアス回路