3. 測定の方法

測定の方法には、直接測定と間接測定がある。

直接測定:物理的な計測器やセンサーを使用して物理量を直接測定することで、対象と同種類の基準と直接比較する手法である。体重計を使用して体重を測定する場合や、温度計を使用して温度を測定する場合が直接測定の例である。直接測定は、正確な測定値を得ることができる利点があるが、測定器の精度に依存することがあるため、測定器の校正や精度の確認が必要となる。

間接測定:物理的な計測器やセンサーを使用せずに、対象と法則を介して関係する他の量(測りやすい量)を計測し, その法則にしたがって対象の量を計測する手法である。 間接計測では, 関連する量の間を支配する法則式を用いた何らかの演算が必要となる。例えば、身長と体重からBMIを計算する場合や、車の速度を計測する場合に車輪の回転数を測定してから車輪の直径から速度を算出する場合が間接測定の例である。間接測定は、直接測定が困難な場合や、測定器の精度に依存しない場合に利用される。測定式の正確性に依存しており、 計算機の高度化に支えられている。また、誤差が生じることがあり、 誤差の伝搬に注意する必要がある。

直接測定と間接測定は、物理量を測定する際に用いられる方法の2つであり、それぞれの特徴や利点を把握して、適切な方法を選択することが重要である。

測定の種類と方式

計測や測定システムは、被測定量を目に見える形に変換することである。その変換の方式で分類される。

【指針での分類】
偏位法の例(検流計)

偏位法:測定対象によって生じる変位(偏位)を計測することによって、測定値を求める方法。具体的には、測定対象に作用する力や変位によって、測定器の針や目盛りが動き、その動きの大きさから測定値を求めます。指針が偏位した位置で測定値を読み取る。
【例:検流計、液体温度計 (液柱の頭が指針の役目をする) 】

零位法の例上皿天秤)

零位法:被測定量と基準値の平衡をとり、指針をゼロにして測定値を決定する方法。測定対象と比較する基準量を設定し、測定器の針や目盛りを調整して、測定対象と基準量が等しくなるようにする。例えば、重さを測定する場合、天秤の片側に測定対象を、もう片側には基準となる重りを置き、天秤が水平になるように調整する。この時、基準重りの重さが分かっていれば、測定対象の重さを求めることができる。
【例:上皿天秤】

偏位法は測定対象によって生じる変位を直接測定するため、高精度の測定が可能で、零位法は比較的簡単な操作で測定できるが、測定対象と基準量が等しくなるように調整する必要があるため、操作に一定の時間がかかる場合がある。

【測定方式での分類】
ブロックゲージ

補償法:測定したい量とほぼ同じで非常に正確な量があり、それと被測定量の差を測定する方法。零位法の測定で測定量と基準量とを完全に一致させて釣り合わせることは不可能なので、その微小な差を偏位法で測定する。この2つの方式の組み合わせで精度がよくなる。
例えば、精密てんびんの振動秤量法は、最小分銅まで用いて近似的に釣合せたてんびんを静かに振動させその静止点のずれから残りの微小質量を求めるもので、補償法の典型的な例である。

ブロックゲージは、縦横が同じで厚さの異なる小さなブロックを順に100個程度セットにしたもの。 この小片を2,3個組み合わせるとあらゆる寸法を作り出せる。精密機械組立時の寸法基準やノギスやマイクロメータの精度の確認(トレーサビリティ認証)に用いる。

置換法:あらかじめ正確につくられた基準量と被測定量とを同じ計器で測定し、両測定値の差から正しい測定値を得る方法。 測定器の固有誤差 (器差) をキャンセルできる長所がある。 例えば、精密機械工場で、標準のブロックゲージと製品とを同じマイクロメータではかり、その結果の比較で仕上げ精度を検定する。